特集 母子感染の最新知識
各論
ウイルス感染症 単純ヘルペスウイルス
園田 素史
1
SONODA Motoshi
1
1九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野
pp.556-560
発行日 2024年5月10日
Published Date 2024/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001547
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はじめに
単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)はヒトヘルペス科ウイルスα亜科に属する2本鎖DNAウイルスであり,HSV-1とHSV-2の2つのサブタイプをもつ。それぞれのタイプで感染した場合の症状が異なり,HSV-1は口唇ヘルペス,ヘルペス性口内炎,角結膜炎を引き起こす。HSV-2は通常,性器ヘルペスの原因となり,痛みを伴う水疱や潰瘍病変との性的接触によって広がるが無症候のものも多い。HSV感染症は生涯にわたって発生するが,周産期においては世界中で最も一般的な性感染症の一つである。世界保健機関の推計によると,15~49歳の世界人口の66.6%(推定37億人)がHSV-1に,13.2%(推定5億人)がHSV-2に罹患していることが報告されている1)。性器ヘルペス(genital herpes:GH)合併妊娠の場合には主に垂直感染による新生児ヘルペスをきたし,重篤な経過もあることから管理に注意を要する。
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