特集 周産期における研修医・新人助産師/看護師教育の必修知識 新生児編
新生児の代表的疾患 黄疸
有岡 誠
1
,
安田 真之
2
ARIOKA Makoto
1
,
YASUDA Saneyuki
2
1香川大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター
2香川大学医学部附属病院卒後臨床研修センター
pp.348-352
発行日 2024年3月10日
Published Date 2024/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001479
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はじめに
新生児黄疸とは,新生児期に体内のビリルビン濃度が上昇し皮膚が黄染した状態である。一般的に新生児の血中総ビリルビン(TB)が5.0~7.0mg/dLをこえると可視的黄疸が生じる1)。生後早期の新生児黄疸はグルクロン酸抱合されていない非抱合型ビリルビンが主として高値となっている。その主な原因はビリルビン生成量の増加とビリルビン排泄量の低下である。ビリルビンはヘモグロビンに由来するヘムから生体内で生成され,赤血球寿命が成人と比較して短く,出生後の酸化ストレスに対する生体反応としてビリルビン産生量が増加すると考えられている2)。ビリルビンの排泄速度に大きく関係するのはビリルビンUDPグルクロニルトランスフェラーゼ(UGT)活性である。生後早期の新生児ではUGT酵素活性は成人の1%程度であり,成人と同等の活性を有するまでに3か月の期間を要する3)。新生児黄疸の多くは病的意義を伴わない生理的黄疸だが,一部の新生児では治療が必要な病的黄疸を呈する。治療が遅れた高ビリルビン血症を呈する新生児ではビリルビン脳症を発症し不可逆的な発達障害を呈することが知られている4)。光療法が普及した現在においても,NICUで治療対象とする超早産児のビリルビン脳症の存在が報告されており5),ビリルビン脳症を確実に予防するためのマネジメントが必要である。
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