特集 母乳育児成功のコンセプト(下)
母乳をめぐる問題解決
新生児黄疸
船戸 正久
1
,
高野 亨子
2
1淀川キリスト教病院小児科
2松山赤十字病院小児科
pp.836-841
発行日 1998年10月25日
Published Date 1998/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902023
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はじめに
母乳育児を考える場合,黄疸との関係が絶えず話題に上る。その一因は,普段から「母乳による黄疸は安全である」と考えていても,心の隅のどこかで「本当に母乳による黄疸は安全か?」という心配があるからであろう。その心配には,一般的に黄疸に関する2つの知識の裏づけがあると思われる。
まず第1は,古くから重症の新生児黄疸は核黄疸の原因となり,アテトーゼ型脳性麻痺,難聴など後遺症を残す可能性があるということ,第2は,一般的に母乳栄養児では,人工栄養児より黄疸が強く出る傾向があり,同時にその原因が本当に母乳によるものだけなのかという疑問が絶えず残るためである。そのため「本当に母乳による黄疸だから放置しても大丈夫か?」,「たとえ母乳による黄疸であっても強い場合は,何か処置をしなければ危険ではないか?」という疑問が心の隅に残っているのが現実である。
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