研究
帝王切開術における子宮収縮薬投与方法―International consensus statementを踏まえた当院プロトコルの作成と実践
城内 南奈子
1
,
金杉 知宣
1
,
竹下 亮輔
1
,
伊藤 理華子
1
,
阿部 真璃奈
1
,
大塚 遥
2
,
淀川 祐紀
3,4
JONAI Nanako
1
,
KANASUGI Tomonobu
1
,
TAKESHITA Ryosuke
1
,
ITO Rikako
1
,
ABE Marina
1
,
OTSUKA Haruka
2
,
YODOGAWA Yuki
3,4
1岩手県立大船渡病院産婦人科
2岩手医科大学附属病院産婦人科
3岩手県立大船渡病院救命救急センター
4JCHO船橋中央病院麻酔科・周産期科
pp.1528-1533
発行日 2023年10月10日
Published Date 2023/10/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001135
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目 的
産後大量出血を予防する目的で,経腟分娩でも帝王切開(cesarean section:CS)でも,分娩第3期の積極的管理として児娩出直後の子宮収縮薬投与が推奨されている1)。各国のガイドラインでは,副作用の少ないオキシトシン(oxytocin:OT)が第一選択とされているが,投与量,投与方法は確立されていない。わが国でのCSにおける子宮収縮薬の使用方法は薬剤選択,投与量,投与経路,投与タイミング,投与速度などについて施設によってさまざまであり,エビデンスより伝統的・慣習的に運用されていることが多い現状にある2)。当院においてはこれまで慣習的に,胎盤娩出後にOT 5単位を子宮に直接筋肉注射し,子宮収縮をみながら術者が適宜追加を指示する方法であった。しかしAkinagaらの研究により,子宮への直接筋肉注射は効果発現が遅く適切ではないと報告されている3)。また,OTの急速・過量投与は血圧低下・嘔気嘔吐・ST低下といった副作用が多いことが指摘され,CSにおける必要最小限の投与方法についてこの数年間検討されてきており,その集大成として2019年にInternational consensus statement(ICS 2019)が発表された4)。当院においても,このICS 2019を踏まえた当院独自のプロトコルを作成し2021年7月より運用開始したので,その効果について検討した。
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