特集 新型コロナウイルス感染症と周産期医療
総論
SARS-CoV-2のウイルス学
竹田 誠
1
TAKEDA Makoto
1
1東京大学大学院医学系研究科微生物学
pp.1405-1409
発行日 2023年10月10日
Published Date 2023/10/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001112
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はじめに
2019年12月の末に中国武漢市で新種のコロナウイルスによる肺炎のアウトブレイクが発生した。原因となった病原体が,2002年から2003年にかけて重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome:SARS)とよばれる重篤な呼吸器疾患のアウトブレイクを引き起こしたコロナウイルス(SARSコロナウイルス[SARS-CoV])と近縁のウイルスであることが明らかになった。その結果,SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)と名付けられた。SARS-CoV-2による感染症は,Coronavirus disease 2019(COVID-19)と名付けられた。SARS-CoV-2の流行は,急速に世界中へ拡大し,2020年3月11日に世界保健機関(WHO)が,パンデミック発生の声明を出した。本稿では,SARS-CoV-2のウイルス学的特徴と,その変異株の性質について解説する。
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