特集 数値からみる周産期医療 産科編
合併症妊娠 自己免疫疾患
吉田 幸洋
1
YOSHIDA Koyo
1
1順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科
pp.1197-1199
発行日 2023年8月10日
Published Date 2023/8/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001047
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はじめに
自己免疫疾患の代表的な疾患である全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)は,多臓器障害を伴い,抗核抗体をはじめとして臓器非特異性の自己抗体が多種認められる代表的な自己免疫疾患である。一般にSLEは,慢性に経過し寛解と再燃を繰り返すことや妊娠可能な年齢層の女性に多い(男女比は1:9)ことから,SLEに罹患している患者では,妊娠との関わりが問題となることが少なくない。SLEと妊娠との関わりという点では,妊娠によってSLEの病態悪化の可能性や,自己抗体のなかには,妊娠の維持や胎児の発育に影響したり,妊娠中に経胎盤的に胎児に移行して児に特有の病態を形成するものもある。さらに,SLEの治療においては副腎皮質ステロイド薬のほか,特に近年では母体の疾患に応じた種々の薬剤が使用されるので,妊娠中はこれらの薬剤の胎児や新生児への影響を考慮する必要がある。
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