特集 数値からみる周産期医療 産科編
合併症妊娠 甲状腺機能異常妊娠
吉原 愛
1
YOSHIHARA Ai
1
1伊藤病院内科
pp.1194-1196
発行日 2023年8月10日
Published Date 2023/8/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001046
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
妊娠中,甲状腺機能が正常に保たれることは母体にとっても,胎児の成長発達においても大変重要である。甲状腺機能異常の評価には,甲状腺ホルモンであるFT3(遊離T3;triiodothyronine),FT4(遊離T4;thyroxine)と甲状腺刺激ホルモンTSH(thyrotropin)を測定する。妊娠中はエストロゲンが上昇することによりTBG(thyroxine-binding globulin)が高値となり,そのためimmunoassayでのFT3,FT4の測定系に影響することが知られている。妊娠初期はヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の上昇に伴いFT3,FT4はやや高値に,妊娠中期・後期にFT3,FT4の基準範囲はキットの基準範囲よりも低値となるが,妊娠中期,後期のFT3,FT4の変化が測定法の問題なのかどうかは現在もはっきりとわかっていない。現時点では,妊娠中の各項目の基準範囲は,非妊娠時と異なることに留意し,評価することが重要である。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.