特集 周産期医療のヒヤリ・ハット―医療事故・医療紛争を防ぐために 新生児編
各論
病的新生児の評価 新生児搬送のタイミング
星名 潤
1
HOSHINA Jun
1
1長岡赤十字病院新生児科
pp.1049-1052
発行日 2023年7月10日
Published Date 2023/7/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001002
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はじめに
周産期センターへの入院治療が必要となるハイリスク児は,全出生児の5~7%程度である1)。周産期医療の進歩に伴い,ハイリスク児は出生前診断されるようになることが増え,母体とともに出生後治療が可能な周産期母子医療センターへ母体搬送されることが多くなった。新生児搬送の究極的な原則は,母体搬送によって新生児搬送を極力回避することである。限られた人材・資材・空間での新生児搬送は,搬送医学の高度な技術と経験が求められ,母体搬送よりもはるかにリスクが高いからである2)。しかし,2018年の人口動態調査では55.1%の新生児は病院で出生しているが,残りの新生児は産科診療所44.3%,助産所0.5%,施設外0.1%で出生している3)。出生前診断には限界があることや,早産児の予期せぬ出生,胎盤早期剝離により母体搬送の時間すらない状況,胎児仮死・新生児仮死による低体温療法実施施設への搬送,外科手術を必要とする緊急搬送や出生後に明らかになる疾患など,新生児搬送はなくなることのない必須の医療行為である。
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