特集 周産期医療のヒヤリ・ハット―医療事故・医療紛争を防ぐために 新生児編
各論
病的新生児の評価 早期母児接触・母子同室の安全管理
野田 晴香
1
,
早川 昌弘
1,2
NODA Haruka
1
,
HAYAKAWA Masahiro
1,2
1名古屋大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター新生児部門
2医療法人葵鐘会小児科
pp.1039-1043
発行日 2023年7月10日
Published Date 2023/7/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001000
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はじめに
日本周産期・新生児医学会から提言された「早期母児接触」実施の留意点では,早期母児接触とは,正期産新生児を対象に出生直後に分娩室で行われる母児の早期接触のことを指す1)。具体的には,新生児の腹側皮膚を母親の腹側皮膚に向け,胸から胸へ新生児と母親を直接接触させる行為である。また,母子同室とは,母子同室実施の留意点作成ワーキンググループが作成した「母子同室」実施の留意点では,出生後早期から母子が同じ部屋で過ごす医療施設内で実践するケアのことを指す2)。早期母児接触・母子同室は一定の条件下に安全に実施すれば決して危険ではないが,重篤な事象の報告もあり,リスクのある状況下での早期母児接触・母子同室には潜在的な危険が潜んでいる。したがって,安全に実施するためには各施設の実情に応じた適応基準や中止基準,実施方法を作成する必要がある。
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