特集 周産期医療のヒヤリ・ハット―医療事故・医療紛争を防ぐために 産科編
各論
癒着胎盤の対応のポイント
松崎 聖子
1
,
松崎 慎哉
2
,
竹村 昌彦
1
MATSUZAKI Satoko
1
,
MATSUZAKI Shinya
2
,
TAKEMURA Masahiko
1
1大阪急性期総合医療センター産科・婦人科
2大阪国際がんセンター婦人科
pp.959-964
発行日 2023年6月10日
Published Date 2023/6/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000978
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背 景
癒着胎盤とは,妊娠子宮の基底脱落膜の欠損部位より絨毛が子宮筋層に直接侵入し,分娩後自然脱落することができない,もしくは困難となった状態である。癒着胎盤の問題は,分娩前の診断の難しさや,分娩時大量出血をしばしば認める点である。また,重症例である穿通胎盤では約1.4%の母体死亡が報告されている1)。癒着胎盤の危険因子は既往帝王切開や,前置胎盤であることはよく知られた事実であり,分娩前の診断が癒着胎盤の母体予後を改善することが知られている2)。分娩前の診断が予後を改善する理由としては,癒着胎盤としてのリスク評価,十分な輸血の確保,スタッフの確保,集学的治療の準備が行われているからである。しかし,未診断の癒着胎盤であった場合,これらの準備がなされていないため素早い対応が必要となる。
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