今月の臨床 症例から学ぶ前置胎盤
前置胎盤における癒着胎盤
3.癒着胎盤への対応
山田 重人
1
,
濱西 潤三
1
,
棚田 省三
2
,
伊東 宏晃
1
,
佐川 典正
1
,
藤井 信吾
1
1京都大学大学院医学研究科器官外科学講座(婦人科学産科学)
2兵庫県立尼崎病院産婦人科
pp.1359-1363
発行日 2004年11月10日
Published Date 2004/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100667
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はじめに
癒着胎盤の病態は何らかの原因により胎盤付着部位において脱落膜が欠損し,胎盤の全部または一部が子宮筋に癒着し剥離が困難となり,ときとして分娩時に大量出血を起こす.一方,前置胎盤は,胎盤の一部または大部分が子宮下部(子宮峡部)に付着し,内子宮口に及ぶ病態であり,妊娠中期~後期において,しばしば無痛性の性器出血を繰り返し,ときとして突発的な大量出血をきたす.前置胎盤において癒着胎盤を併発するリスクは5%と,常位胎盤において癒着胎盤を併発する率(0.26%)に比べて高率であると報告されている1).
本稿では,癒着胎盤の分類,取り扱いを概説し,具体的な症例をもとに,前置胎盤における癒着胎盤の取り扱いについて述べる.
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