今月の臨床 産科出血―診断・治療のポイント
癒着胎盤
藤森 敬也
1
,
伊藤 明子
1
,
高橋 秀憲
1
,
佐藤 章
1
1福島県立医科大学医学部産婦人科学教室
pp.53-59
発行日 2009年1月10日
Published Date 2009/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101941
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はじめに
癒着胎盤の発生頻度は年々増加していると考えられ,その最大の要因は帝王切開症例の増加による.この50年でその頻度は10倍になりおよそ2,500分娩に1例と報告され1),さらに最近では533分娩に1例との報告2)もあり,毎日の臨床の場で遭遇する可能性が高くなってきている.その対応は慎重に行わないと思わぬ大量出血をもたらし,母体の生命まで脅かす危険性がある.その診断や対応については専門機関であっても苦慮する場合があり,術前にさまざまな準備が必要である.最近では,いろいろな特集が組まれ,さまざまな術中出血の軽減の工夫が報告されている.本稿のみでは,それらの工夫をすべて解説することは無理があり,現在,筆者の考えていることを中心に記述することとし,読者にはぜひたくさんの文献に当たって自分たちの施設に合った対応を考えていただきたいと思う.
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