特集 周産期医療のヒヤリ・ハット―医療事故・医療紛争を防ぐために 産科編
各論
鉗子分娩における安全確保―経会陰超音波,鉗子適位とは,回旋鉗子の使い方
中山 敏男
1,2
NAKAYAMA Toshio
1,2
1山王病院女性医療センター/産科・婦人科部門
2国際医療福祉大学臨床医学研究センター
pp.947-953
発行日 2023年6月10日
Published Date 2023/6/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000976
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はじめに
訴訟リスクの高いといわれる現代の産科診療では,児頭の位置が高い場合や回旋異常がある場合に器械分娩が難しいと予測される状況においては,帝王切開のほうがより選択されると予想される。しかし器械分娩は娩出までの時間が帝王切開と比較して短時間であるため,急激な母児の状態悪化に対して安全に施行できる条件が遵守されていれば,器械分娩を施行するほうが母児の予後に寄与する。しかし時間的制約などの社会的な理由や,分娩進行の誤った判断などにより器械分娩を行うと,母体の高度腟壁裂傷や子宮破裂,児の頭血腫や帽状腱膜下血腫などのリスクが増加する。本稿では,特に鉗子分娩における上記のリスクを避けるために,経会陰超音波を用いた分娩進行評価と鉗子適位の評価,回旋異常への対応について述べる。
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