特集 周産期医療のヒヤリ・ハット―医療事故・医療紛争を防ぐために 産科編
各論
メトロイリンテル,人工破膜
金井 雄二
1
KANAI Yuji
1
1産育会 堀病院
pp.915-920
発行日 2023年6月10日
Published Date 2023/6/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000968
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はじめに
分娩誘発や頸管熟化のためにメトロイリンテルを用いることはわが国でもっとも一般的に行われる処置の一つである。また,人工破膜も分娩進行を促す目的ではるか昔より伝統的に行われてきているもっとも一般的な処置の一つである。日常診療で多く目にするこれらの処置は理論上,臍帯脱出や絨毛羊膜炎をひき起こす危険性も伴っている。このことを念頭においてリスクとベネフィットを考慮して慎重に処置を進めるべきであるが,臍帯脱出に関してはいったん起こった場合,急速遂娩を行っても児は重篤な転帰に陥ることが多い。本稿を執筆している今日現在,日本医療機能評価機構のサイト1)において産科医療補償制度原因分析報告書検索で「臍帯脱出」を検索すると149件の報告が上がってくる。その手前の状態である「臍帯下垂」でも60件が検索され臍帯脱出や臍帯下垂が医療事故・医事紛争にいかに直結しているかがうかがえる。
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