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人工流産に於けるアブレル氏法とブシー或はメトロイリンテル法の比較
小林 禮子
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1東邦醫科大學病院産婦人科教室
pp.444-445
発行日 1949年11月10日
Published Date 1949/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200281
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Aburel氏分娩誘導法は,始めてLuisにより,1945年に紹介せられたもので,Luisは,分娩豫定日の過ぎたもの,子癇,類子癇症,腎疾患を合併せるもの,28例に,Aburel氏法を應用し,母子共に危險なく過し得,之は,キニーネや後葉ホルモンの無効な場合にも有効であると,報告している.我國に於ては,昭和22年,山元氏等により,始めて報告せられ,山元氏は,43例に應用しその結論は,液は純粹な飽和食鹽水,注入量は1回60〜100cc分娩は4〜5日以内に終了,胎兒は死産すること多く,一般に副作用はないが,ただ43例中1例,不明な原因による不幸例を見たと述べている.昭和23年,水野,吉村兩氏は10例を報告し,何れも豫後良好で,且つ死胎兒及び胞状奇胎の診斷を下し得べく,其の作用機轉は,食鹽のナトリウムイオンが,子宮の滑平筋線維に刺戟をあたえるものであると云うLuisの説に賛成すると,結論している.此のAburel氏法は,秦氏により,多數例に應用せられ,今までのブジールング,メトロイリーゼ等に比し,所要時間が短く,傳染の危險がなく,入院及びむづかしい技術を要せず,理想的な人工妊娠中絶法として推奬せられたが,一方本法に封する批判も加わり,本年の日本婦人科學會に於ては,出題數多數に及び活溌な議論が展開せられた.
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