特集 今,改めて考える,流産,死産,新生児死亡
総論
新生児死亡の実情と課題
細井 健一郎
1
HOSOI Kenichiro
1
1杏林大学医学部小児科
pp.735-740
発行日 2023年5月10日
Published Date 2023/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000915
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はじめに
わが国の新生児死亡率は低く,世界でもトップクラスの高い医療水準を維持している。そこに至るまでには,半世紀以上にわたる先人たちのたゆまぬ努力による周産期医療技術の向上や,健診システム構築によるところが大きい。妊娠から出産,そして乳幼児健診に至るまでの健診システムや母子健康手帳の存在意義も高く評価されている。1986年に世界に先駆けて承認されたサーファクタントや高頻度振動換気法をはじめとする人工呼吸管理など,わが国で始まった医療技術や総合周産期センターの整備は新生児の救命に大きく貢献している。さらに,胎児診断や治療成績の向上に加え,近年では希少疾患に対するオプショナルスクリーニングなど,生後早期に病気を見つけて治療につなげる試みも始まっている。
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