特集 救急医療システム
ドクターカーの実情と課題
小林 久
1
,
大井 利彦
1
,
石田 浩司
1
,
高須 朗
1
,
山下 豊
1
,
藤田 彰一
1
,
杉野 達也
1
,
谷口 積三
2
,
岩澤 利典
3
,
堀下 隆二郎
4
,
岸本 正
4
Hisashi KOBAYASHI
1
,
Toshihiko OHI
1
,
Kohji ISHIDA
1
,
Akira TAKASU
1
,
Yutaka YAMASHITA
1
,
Shoichi FUJITA
1
,
Tatsuya SUGINO
1
,
Sekizō TANIGUCHI
2
,
Toshinori IWASAWA
3
,
Ryujiro HORISHITA
4
,
Tadashi KISHIMOTO
4
1兵庫県立西宮病院救急医療センター
2兵庫県立西宮病院
3兵庫県立尼崎病院
4西宮市消防局
pp.775-779
発行日 1987年11月15日
Published Date 1987/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207573
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■はじめに
近年,救急医療体制は三次救急医療機関としての救命救急センターの設置や,広域的な救急医療情報システムの整備などによって著しく充実され,その結果,多くの心肺危機状態にある重症患者が高度医療機関に収容され,救命されている.このような救急医療体制の進歩に伴い,各施設とも重症患者の中に来院時心肺停止dead on arrival(DOA)例が多く経験されるようになり,救急搬送の問題点が大きくクローズアップされるようになってきた.しかし,救急現場から病院搬送までの間の医療行為(prehospital care)については,現状ではほとんど手がつけられておらず,その主体となるべき一般市民や救急隊員に対しては,心肺蘇生法(CPRと略す)をはじめとした救命処置について,十分な対策が講じられているとは言いがたい.
そこで,われわれは「救急現場からの医療」の確立を目的として,prehospital careの主体者である救急隊員には救急現場で一次救命処置を実施してもらい,その間現場へ医師を搬送して医師による二次救命処置を継続するという,ランデブー方式によるドクターカーの運用を行っている1),2).本稿では,その実情と課題について述べる.
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