講座
胎児及び新生児死亡について
鈴村 正勝
1
1東京都立台東産院
pp.6-12
発行日 1955年7月1日
Published Date 1955/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200877
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
(1)緒言
妊娠中,或は分娩中に突然胎児心音が聴えなくなつたり,新生児が分娩後間もなく,又は1週間位経過してから,死亡する事がある.その場合,その原因の明かな畸形とか,臍帯脱出とかが,認められる場合のみとは限らない.肉限的に見ても,或は顯微鏡的に検査しても,その原因のつかめない場合が相当ある.本誌の今年4月号に,村松氏が,新生児死亡の主要原因について,統計上の成績を述べておられる.その中で先天性弱質が42.8%,未熟児が9.3%を占め,合計すると,半数以上になつている.先天性弱質というのは死因の不明なものにつけられた名称であつて,本邦の現状では,解剖的検査がされていない事が多いから,その中には,先天性内臓晴形,頭蓋内出血,肺炎等が含まれていると思われる.又,未熟児の場合を考えても,本邦に於ける最少の875gの織田博士の例とか,外国に於ける生後第2日の体重396gのモンロー氏の例が,救つた事が報告されている.従つて,2500g以下の未熟児が死亡する場合も,未熟という事の為に死亡するのは,厳重に云えば,以上の例以下に限られるとも考えられる.
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.