特集 How to Follow-up―ハイリスク児フォローアップの必修知識2023
家族支援
新生児医療が母子関係に与える影響とその対応
永田 雅子
1
NAGATA Masako
1
1名古屋大学心の発達支援研究実践センター
pp.469-472
発行日 2023年4月10日
Published Date 2023/4/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000842
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はじめに
新生児集中治療室(NICU)に入院となってくる赤ちゃんは,妊娠・出産がリスクを伴うものであることが少なくなく,親子は出産直後から物理的に引き離されることになる。NICUは,いくつかの扉を開けて入っていく特別な空間であり,その向こうでは機器に囲まれ,保育器に入り,チューブにつながれたわが子に出会うことになる。出産直後から赤ちゃんのリスクについて説明を受けるとともに,実際に出会う赤ちゃんの状態も刻々と変化していく。未熟で反応が弱々しい赤ちゃんの存在は,妊娠・出産にまつわる親の傷つきや罪悪感といった内的な思いを刺激しやすく,家族は,思い描いていた赤ちゃんや赤ちゃんのいる生活を喪失したというグリーフワークと目の前の赤ちゃんとの関係を築いていくという心理的作業を並行して行っていくことになる1)。また退院しても,子どもの育ちに不安を抱えたり,子育ての困難さを感じる親も少なくない。本稿ではフォローアップにおいてわれわれが意識しておかなければならないポイントと対応について解説をしていく。
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