特集 妊産婦死亡の現状と削減に向けた対策
各論
劇症型A群溶連菌感染症
仲村 将光
1
NAKAMURA Masamitsu
1
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院産婦人科学
pp.395-398
発行日 2023年3月10日
Published Date 2023/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000824
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はじめに
2010~2021年に報告された妊産婦死亡の原因のうち,感染症が占める割合は9%である1)。年によって変動はあるものの,劇症型A群溶連菌感染症(Group A Streptococcus:GAS)による妊産婦死亡は0~5例/年の頻度で発生している。2021年以降は2012年以来,GASによる重症母体は妊産婦死亡および重篤事例を含めて報告がなかった。妊産婦のGAS感染では母児ともに生命の危機にさらされるような急激な経過,および重篤な転帰をとることが知られている。2020年以降の世界的なCOVID-19感染拡大によって,わが国における妊産婦の感染が増加したと推測されるが,報告されたCOVID-19関連の妊産婦死亡は2例である。それに比較してもGAS感染による妊産婦の致死率はかなり高いと推察され,初期の診断と対応が適切かつ迅速でなければ救命は困難である。
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