Japanese
English
特集 呼吸器と救命救急
肺血栓塞栓症
A cute Fatal Pulmonarv Thromboembolism
国枝 武義
1
Takeyoshi Kunieda
1
1国立循環器病センター内科
1Cardiopulmonary Division, Department of Medicine, National Cardiovascular Center
pp.873-879
発行日 1995年9月15日
Published Date 1995/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901114
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
肺血栓塞栓症は静脈系血栓症に続発して起こる急性死に至る重要疾患である.本症は単に呼吸器内科の領域にとどまらず,循環器内科,胸部および腹部外科,整形外科,産婦人科などの臨床各科にまたがる疾患であり,臨床の現場では救急医療の実践が要求される.米国では,年間の肺血栓塞栓症の発生率が50〜60万人とされ,その10%は発症1時間以内に死亡し,その後の再発による急性死を含めると年間10〜15万人が死亡するといわれる1).
本邦では肺血栓塞栓症の発生は少ないことが知られるが,日本剖検輯報にみる肺塞栓症の発生頻度は米国の約1/10である2).1/10としても大変な数であり,本邦でも肺血栓塞栓症が少なからず発生することが示されている.しかし,救命救急の対象となる致死性急性肺血栓塞栓症が本邦においてどの程度に発生するものか詳細なデータはない.これまでの筆者らの臨床経験からみれば,欧米に近い頻度で発生するものと推測される.
本稿では,致死性急性肺血栓塞栓症の病態,発生頻度,死因,診断とその対応について述べる.
Copyright © 1995, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.