特集 Controversies in perinatology 2023 産科編
高度子宮頸管短縮例―経腟的頸管縫縮術
大槻 克文
1
OTSUKI Katsufumi
1
1昭和大学江東豊洲病院産婦人科
pp.1642-1646
発行日 2022年12月10日
Published Date 2022/12/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000698
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はじめに
円錐切除後の妊娠で認める早産率増加の原因は,頸管による妊娠子宮の物理的保持能力の減少以外に,円錐切除で頸管腺が切除されることにより,抗菌作用を有する頸管粘液の分泌が減少し,ひいては絨毛膜羊膜炎を誘発し,結果として前期破水をひき起こすためと考えられている。このうち,円錐切除術などで子宮頸管の切除範囲が広範となった例では,残存頸管がほとんどないため,従来の頸管縫縮術施行が困難で,仮に施行しえても後期の流産や早産にいたる例があり,その対応に苦慮する。とくに,従来子宮全摘術を行っていたような子宮頸部悪性腫瘍に対しては妊孕性を維持すべく,子宮頸部広汎子宮全摘術が行われるようになっており,妊娠前に子宮腟部が広範囲かつ深く切除され,妊娠初期の段階で頸管長が極端に短縮し,通常の方法では子宮頸管に相当する部分を把持できないような症例が発生している。また,過去に頸管無力症で頸管縫縮術を複数回施行されたものの,後期の流産や早産となった例もその対応に難渋する。
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