今月の臨床 周産期の難題を解く―最新のエビデンスを考慮した解説
妊娠管理
6.頸管短縮例に縫縮術は有効か?
中井 章人
1
1日本医科大学附属多摩永山病院産婦人科
pp.1274-1277
発行日 2003年10月10日
Published Date 2003/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100810
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はじめに
経腟超音波断層法の導入により,妊娠中後期の管理が変化しつつある.かつて妊娠の進行に伴う頸管変化は内診によってのみ評価され,多くの医学書にその所見が記されてきた.実際,頸管変化を主徴とする代表的な疾患である頸管無力症においても,日本産科婦人科学会の定める用語集には,外出血,陣痛などのいわゆる切迫流早産徴候の自覚なく子宮口が開大し,胎胞が形成されてくる状態と記されるにとどまっている.
近年,こうした病態に対し,経腟超音波断層法による頸管観察が内子宮口変化をより早期に診断し,早産の予知を可能にすることが多くの研究により報告されている.中でも,頸管長の測定は再現性も高く,簡便で,信頼性の高い早産のbiological markerと考えられている.しかしこれらの研究は,経腟超音波断層法による頸管観察の有益性を説くと同時に,頸管短縮例に有効な治療が存在しないという事実も指摘している.
そこで本稿では,経腟超音波断層法により診断された頸管短縮例に対し,はたして縫縮術は有効か否か,最新のエビデンスをもとに解説する.
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