特集 知っておくべき周産期・新生児領域の遺伝学的検査を展望する
各論
先天性中枢性低換気症候群
佐々木 綾子
1
SASAKI Ayako
1
1山形大学医学部小児科学講座
pp.765-768
発行日 2022年5月10日
Published Date 2022/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000178
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はじめに
先天性中枢性低換気症候群(congenital central hypoventilation syndrome:CCHS)はneurocristopathy(神経堤由来の前駆細胞の遊走・分化異常による疾患)の一つであり,呼吸中枢の障害と自律神経障害を主とする疾患である。睡眠時無呼吸や低換気が主症状であり,主に新生児期に発症するが,感染や麻酔を契機に乳児期~成人期に発症する症例(late-onset CCHS)もある。また,この疾患はHirschsprung病や便秘,神経堤細胞由来腫瘍,徐脈,不整脈,瞳孔異常などを合併する。有病率は日本では約15万人に1人と推定されている1)。病因遺伝子はPHOX2Bであり,早期に遺伝子診断を行うことにより,安全な呼吸管理や合併症の治療が可能となり,神経学的予後や生命予後の改善が期待される。
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