特集 知っておくべき周産期・新生児領域の遺伝学的検査を展望する
各論
遺伝性難聴
工 穣
1
TAKUMI Yutaka
1
1信州大学医学部耳鼻咽喉科頭頸部外科
pp.705-710
発行日 2022年5月10日
Published Date 2022/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000165
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遺伝性難聴の分類
新生児聴覚スクリーニング機器の進歩と普及によって,難聴児の発生頻度はおおよそ出生1,000人に1人であることが世界的に確認されている。また先天性難聴の少なくとも60~70%に遺伝子が関与しているとされており1),現在までに120種類以上の原因遺伝子が特定されている。難聴にさまざまな随伴症状を伴う症候群性難聴(表1)と難聴のみを症状とする非症候群性難聴(表2)に大別され2),遺伝子ごとに発症時期や聴力プロファイル,発現部位などが異なるため(図1),治療法の選択も異なる。わが国では,日本人難聴患者に特徴的で頻度の高い19遺伝子154変異を次世代シーケンス法+インベーダー法にて網羅的・効果的にスクリーニングする検査が保険適用となっている3)。なお,本検査は,これまでの検査や研究の結果をふまえて,2022年度中にも約50遺伝子1,000変異程度に大幅なアップグレードが予定されている。
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