特集 知っておくべき周産期・新生児領域の遺伝学的検査を展望する
各論
先天性水頭症
埜中 正博
1
NONAKA Masahiro
1
1関西医科大学脳神経外科
pp.701-704
発行日 2022年5月10日
Published Date 2022/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000164
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はじめに
水頭症は,古典的には,脳脊髄液が脈絡叢で産生された時点から静脈系に吸収される部位まで十分に通過しないために生じる脳室の異常な膨張と定義されている。水頭症には多くの原因があり,後天性(二次性)水頭症は,脳腫瘍,感染症,出血などほかの疾患の合併症として起こるが,先天性水頭症の多くは原因不明である。わが国における先天性水頭症の発生頻度は1万出生あたりおよそ3人程度と考えられている。先天性水頭症にはほかの中枢神経の形態異常を合併しないものと,ほかの中枢神経の形態異常を合併するものとに大別することができる。前者の代表的な例はX連鎖性遺伝性水頭症で,後者には脊髄髄膜瘤,ダンディーウォーカー症候群,全前脳胞症などが挙げられる1,2)。本稿では先天性水頭症とその遺伝学的な問題を取り上げる。
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