特集 知っておくべき周産期・新生児領域の遺伝学的検査を展望する
各論
てんかん―神経疾患,Dravet症候群
加藤 光広
1,2
KATO Mitsuhiro
1,2
1昭和大学医学部小児科学講座
2昭和大学病院てんかん診療センター
pp.697-700
発行日 2022年5月10日
Published Date 2022/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000163
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はじめに
てんかんと遺伝の関連性は以前から示唆されてきたが,親や兄弟姉妹など家族性に発症するてんかんの患者割合は約5%でしかない。しかも家族性に発症するてんかんは,成長とともに消失する(自然終息性)か薬剤で容易に抑制される(薬剤反応性)予後良好なタイプが多い。また,発症年齢が早いほど遺伝素因の関与は一般的に大きいが,正期産児における新生児発作の原因でもっとも多いのは低酸素性虚血性脳症で,ついで梗塞や出血などの血管障害であり,遺伝素因は6~10%とされる(図1)1)。ただし,血管障害で生じる孔脳症や裂脳症にはCOL4A1など遺伝素因が関与し2),代謝異常や脳形成異常も遺伝素因が高率に関与する。新生児発作全体として遺伝素因が関与する割合は高く,遺伝学的検査の重要性も増している。本稿では素因性てんかんを中心に述べる。新生児けいれんをきたす先天代謝異常については他書3)を参照されたい。
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