特集 生殖補助医療の進歩と周産期医療
生殖補助医療(ART)の立場から
不妊と不妊治療が与える女性への心理的影響
川野 由子
1,2
KAWANO Yuko
1,2
1甲南大学公認心理師養成センター
2周産期心理士ネットワーク
pp.373-376
発行日 2022年3月10日
Published Date 2022/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000086
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はじめに
近年,不妊治療〔生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)〕1)が静かに浸透し,2019年度のわが国の出生児の14.3人に1人がARTで誕生している1,2)。また,2022年4月からはARTが保険適用で行えるように整い3),「不妊症」,「不育症」と診断3)されたカップルにとってはわが子を授かる機会に手が届きやすくなった。この社会的な動きは,これまで妊娠を望み出産を切望しながらかなわなかった当事者たちには,大変心強い状況であろう。しかしながら,ARTは医療の進歩にあっても万能な治療法ではない。不妊治療を行っても出産にいたらないこともある4)。その影響を身体的にも精神的にも受けるのは,女性のほうが多いといわれている5)。
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