講座
不妊女性の心理
大島 正雄
1
1母性科学研究所
pp.54-61
発行日 1956年6月1日
Published Date 1956/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201074
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1.はじめの言葉
妊娠調節の声は華やかではあるが,併しその陰には,不妊に悩む多数の女性がかくれている.その原因が夫婦のいずれにあるにもせよ,子のない妻の立場は弱い.家庭の内部は勿論のこと,外に出ても随分と肩身の狭い思いをしているのである.妊娠調節は助産婦の重要な任務であることは云う迄もないが,一方,不妊に悩む人達の啓蒙も同じ重要さがあるのではなかろうか.調節の指導は助産婦本来の仕事の縮少を意味するが,後者は新しい開拓を意味している.その指導によつて,妊娠への途を開くことが出来たなら,それは双方の大きな喜びではなかろうか.
分娩数の減少を嘆いてみても仕方がない.それは大きな時代の流れである.それはそうとしておいて,新しい面を開拓するのが,今後の目標でもあり,助産婦本来の仕事にふさわしいのではなかろうか.
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