特集 花粉症の疑問に答える
【治療】
アレルゲン免疫療法は終了後も効果が持続するのか?
飯沼 智久
1
Tomohisa Iinuma
1
1千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学
キーワード:
アレルゲン免疫療法
,
効果
,
持続
Keyword:
アレルゲン免疫療法
,
効果
,
持続
pp.1203-1205
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001797
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はじめに
アレルゲン免疫療法(allergen immunotherapy:AIT)は,アレルギー性鼻炎および花粉症に対する治療法の1つとして広く認識されている。鼻アレルギー診療ガイドラインにおいては,症状の軽症例を含む幅広い患者層に対して治療選択肢の1つとして位置付けられており,また,国の関係閣僚会議においても舌下免疫療法の普及促進が明言されるなど,社会的にも推奨の機運が高まっている。これほどまでに推奨される背景には,AITが高い治療効果を示すことに加え,アレルギーの根本的な体質改善に結び付く唯一の治療法である点が挙げられる。ただし,この“体質改善”には一定期間の継続的な治療が必要とされるうえ,効果が永続的であるとは限らない。一般にはAITを3年間程度継続すると,治療中止後もアレルゲンに対する免疫寛容が誘導され,少なくとも2~3年間は有意な臨床効果が持続することが報告されている。本稿では,AITの治療期間および治療終了後の効果持続期間に焦点を当て,研究内容などを踏まえて考察する。

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