特集 花粉症診療は変わったか?
花粉症治療に関する最近の話題
アレルゲン免疫療法の有効性と課題
永倉 仁史
1
Hitoshi Nagakura
1
1ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック
キーワード:
花粉症
,
アレルゲン免疫療法
,
舌下免疫療法
Keyword:
花粉症
,
アレルゲン免疫療法
,
舌下免疫療法
pp.60-68
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000013
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はじめに
アレルギー性鼻炎に対する免疫療法は,1911年のNoonのイギリスでの報告に始まるが1980年代になると,これまで皮下免疫療法(SCIT)に使用した抗原(ワクチン)を舌下に投与するという治療法がヨーロッパを中心に発展してきた。このアレルゲン免疫療法に対し1998年WHOのposition paper1)が公表され,「疾患の自然経過を修飾する可能性を有する唯一の治療形式であり」,また適応は「アレルギー性鼻炎の治療法であるが,アレルギー性結膜炎,気管支喘息にも効果がある」ことが発表された。その後2009年にはWAO position paperにおいて舌下免疫療法(SLIT)の基本概念が公表され,小児5歳以下でも副作用は増強しない,効果発現は口腔粘膜免疫系の機序に起因することなどが追加された2)。これらの内容がわが国におけるアレルゲン免疫療法の基本概念となっている。
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