特集 てこずった症例・難治症例にどう対応するか
耳領域
難聴遺伝学的検査を契機に診断されたクリオピリン関連周期熱症候群2家系の症例
小林 有美子
1
Yumiko Kobayashi
1
1岩手医科大学臨床遺伝学科
キーワード:
遺伝性難聴
,
症候群性難聴
,
クリオピリン関連周期熱症候群
Keyword:
遺伝性難聴
,
症候群性難聴
,
クリオピリン関連周期熱症候群
pp.967-971
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001225
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はじめに
近年の遺伝子解析技術進歩によって難聴の原因遺伝子が数多く同定され,臨床診断として活用が進んでいる1)。わが国では2012年より“遺伝学的検査(先天性難聴)(インベーダー法)”が保険収載となり,2015年には検査法に次世代シークエンス法が加わるなど,難聴の原因診断の1つとして臨床応用されている。また,保険の検査に加えて,研究ベースで次世代シークエンサーを用いた網羅解析による新規遺伝子バリアントの同定が行われている2)。このような網羅的解析から産出される情報量は従来の解析法と比較すると格段に増加するため,ときには適切な病原性の解釈や予期せぬ二次的所見への注意が必要となってきている3)。遺伝性難聴の約7割は難聴のみを症状とする非症候群性難聴であるが,3割は症候群性難聴である4)。症候群性難聴であっても,難聴が初発症状である場合や,受診時点で唯一聴取・確認できる症状が難聴のみであるという場合も多く,その診断に苦慮することがある。
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