特集 これだけは知っておきたい 甲状腺・副甲状腺診療
非外科的治療
低リスク微小乳頭癌における積極的経過観察
伊藤 康弘
1
,
宮内 昭
1
Yasuhiro Ito
1
,
Akira Miyauchi
1
1隈病院外科
キーワード:
甲状腺癌
,
低リスク微小乳頭癌
,
積極的経過観察
,
TSH
Keyword:
甲状腺癌
,
低リスク微小乳頭癌
,
積極的経過観察
,
TSH
pp.397-400
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001031
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はじめに
最大腫瘍径10mm以下で,画像上リンパ節転移や遠隔転移および周辺臓器への浸潤所見がなく,細胞診で高細胞型などの高悪性度の所見がない成人の低リスク微小乳頭癌(T1aN0M0,微小癌)に対する非手術積極的経過観察(active surveillance:AS)は1993年に隈病院で1),1995年に癌研究会附属病院(現在のがん研有明病院)で前向き研究として開始された。そしてこの2施設からよい結果が報告された結果,2010年日本内分泌外科学会/日本甲状腺外科学会(当時)の「甲状腺腫瘍診療ガイドライン」の初版に治療選択肢として初めて採択された2)。さらに2016年にはアメリカ甲状腺学会(ATA)のガイドラインにもmanagement strategyとして受け入れられ3),それ以降は海外からも前向き試験の結果が発表されてきている。
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