特集 耳科診療の論点―異なる立場の対話とディベート―
さまざまな治療法の中から
気導補聴器が使えない伝音難聴,混合性難聴の治療について―VSBの立場から―
日高 浩史
1
,
池田 怜吉
2,3
Hiroshi Hidaka
1
,
Ryokichi Ikeda
2,3
1関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
2岩手医科大学耳鼻咽喉科頭頸部外科
3仙塩利府病院耳鼻咽喉科
キーワード:
伝音難聴
,
混合性難聴
,
人工中耳
,
Vibrant Soundbridge®
,
先天性外耳道閉鎖症・鎖耳
Keyword:
伝音難聴
,
混合性難聴
,
人工中耳
,
Vibrant Soundbridge®
,
先天性外耳道閉鎖症・鎖耳
pp.299-303
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001000
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
人工中耳,VSB(vibrant soundbridge®,MedEl社)は,もともと従来型補聴器で装用効果が得られない感音難聴の患者に対して,キヌタ骨を直接振動させることで聴取能を改善させる目的で開発された1)。その後,2005年には耳小骨が残存していない例や,鼓室硬化症でアブミ骨底板が固着している症例に対し,蝸牛窓を直接振動させる方法が当該機種の応用として改良された2,3)。振動子であるfloating mass transducer(FMT)を蝸牛窓に設置することで直接蝸牛に振動エネルギーを伝えることができるため,ハウリングがなく長時間の装用も可能である2~6)。2007年に伝音・混合性難聴に対する適応でCE-Markの承認が得られ,国内では2011~2014年にVSB臨床治験が行われた後3~5),2016年に保険適用となった。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.