特集 意外と知らないステロイドの知識
主な耳鼻咽喉科疾患におけるステロイドの使い方
音声障害に対するステロイド療法
齋藤 康一郎
1
Koichiro Saito
1
1杏林大学医学部耳鼻咽喉科学教室
キーワード:
ステロイド薬
,
音声障害
,
嗄声
,
エビデンス
Keyword:
ステロイド薬
,
音声障害
,
嗄声
,
エビデンス
pp.407-411
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000527
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はじめに
音声障害患者の治療に際し,有効性にエビデンスのある薬物は極めて少ない1)。本稿で取り上げるステロイドに関しては,2018年の米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会による「Clinical Practice Guideline:Hoarseness(Dysphonia)(Update)」(以下「ガイドライン2018」)2)における,evidence-based statementsのなかで,コルチコステロイドはrecommendation againstと記されており,使用が許容される状況は限定的としている。この論調は,音声障害患者に対する種々の診断・治療行為のエビデンスに関する2012年のレビュー(以下レビュー2012)3)でも同様である。その一方,疾患の本質が不適切な発声習慣にある場合が多いことから,ガイドライン2018でも音声治療はstrong recommendationとして治療の第1選択とされ,その適応は声帯結節,ポリープ,囊胞,麻痺,加齢性音声障害や喉頭肉芽腫と幅広い。
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