特集 検査結果・検査報告書をどう読むか―感染症・生理機能検査編
感染症検査の結果を読む―治療への活用
結核の検査と結果の見方
田中 康広
1
Yasuhiro Tanaka
1
1獨協医科大学埼玉医療センター耳鼻咽喉・頭頸部外科
キーワード:
結核
,
塗抹検査
,
培養検査
,
インターフェロンγ遊離試験
Keyword:
結核
,
塗抹検査
,
培養検査
,
インターフェロンγ遊離試験
pp.395-397
発行日 2022年4月1日
Published Date 2022/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000098
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はじめに
わが国における結核罹患率は10万人あたり11.51)と年々低下傾向にはあるものの欧米諸国と比較すると依然として高い状況にあり,常に遭遇し得る疾患と言える。耳鼻咽喉科領域における結核菌の感染には結核性中耳炎をはじめ,喉頭結核や咽頭結核などが挙げられる。なかでも代表的な疾患である結核性中耳炎では乾酪壊死様の特徴的な鼓膜所見を呈するが(図1),結核菌の存在を疑わずフルオロキノロン系の抗菌薬による点耳を行うとその感受性によって症状が軽快し,診断の遅延を引き起こすことがある。そのため結核菌を疑う所見を認めたり,典型的な所見はないが治療に難渋したりする場合には常に結核菌を念頭に置き,適切な検査を行って診断を遅延させないことが大切である。
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