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はじめに
慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は不可逆的に進行し,高度となれば腎代替療法(kidney replacement therapy:KRT)として透析や腎移植が必要になる。現在までCKDを改善させる治療法は確立されておらず,その進行予防としても,原疾患に対する介入以外の薬物療法はレニン-アンジオテンシン系阻害薬(renin-angiotensin system inhibitors:RASi)に長らく限定されていた。しかし,2019年のCREDENCE試験ではじめて,ナトリウム・グルコース共輸送体2(sodium glucose cotransporter 2:SGLT2)阻害薬が糖尿病患者において主要アウトカムとしての腎イベントを抑制することが示され,さらに,のちの大規模臨床試験で腎保護効果が血糖降下作用に依存しないことが示された1~3)。これを根拠に,わが国では一部のSGLT2阻害薬の保険適用に「慢性腎臓病」や「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病」が追加されるに至っている。それ以外にも,非ステロイド性ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬であるフィネレノン,グルカゴン様ペプチド-1(glucagon-like peptide-1:GLP-1)受容体作動薬であるセマグルチドがそれぞれ糖尿病患者においてCKDの進行を抑制することが大規模臨床試験で示されており,フィネレノンについてはわが国で「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病」に対して処方可能となり,さらに非糖尿病CKD患者における有効性を評価する試験も進行中である4~7)。これらの薬剤により,この10年間でCKD診療における薬物治療は大幅に進歩し,特にSGLT2阻害薬の処方は全国で急速に広がっている8)。

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