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特集 腎疾患治療薬 フロントライン
各論
第2章 慢性腎臓病・透析合併症
37.高血圧:α遮断薬
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廣岡 良隆
1,2
Hirooka Yoshitaka
1,2
1福岡山王病院循環器内科
2福岡国際医療福祉大学看護学部
キーワード:
高血圧
,
交感神経系
,
心不全
,
慢性腎臓病
Keyword:
高血圧
,
交感神経系
,
心不全
,
慢性腎臓病
pp.325-331
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002155
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1 はじめに
高血圧の病態において交感神経活性化が重要な役割を果たしており,β遮断薬開発から遅れてでてきた薬剤であったためα遮断薬には大きな期待があったが,現在,高血圧治療薬の第1選択薬ではないため,その使用頻度は低い。しかし,早朝高血圧,肥満・インスリン抵抗性を有する高血圧,慢性腎不全,睡眠時無呼吸症候群,発作性血圧上昇,ストレス・不安などの心理的要因の存在も交感神経活動亢進を示唆する病態であり,α遮断薬を上手に使用することによってその有用性を引き出すことができると考えられる1~6)。現在の高血圧診療では,家庭血圧測定が重視されており,家庭血圧計も普及してきている。特にわが国では多い。また,その結果,早朝高血圧が多いことは医師のみならず患者側においても認識されている。現在,α遮断薬は降圧薬としては,カルシウム拮抗薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬/アンジオテンシン受容体拮抗薬,サイアザイド系利尿薬の3剤を使用しても降圧目標を達成できない場合の追加薬剤として位置づけられている3~7)。α遮断薬は早朝高血圧,インスリン抵抗性,前立腺肥大を伴うケースなどで特に有効であり,就寝前に少量から投与開始し漸増していくことが重要である。わが国ではプラゾシンが1981年にはじめてα遮断薬として発売された。耐糖能異常や脂質異常を改善する効果を持ち合わせた降圧薬として期待され,その後,起立性低血圧や反射性頻脈などの副作用を軽減した長時間作用型α遮断薬へと変遷していった(表1)。

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