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要約
IgA血管炎においてMEST-Cスコアと腎生検時の疾患活動性や腎予後との関係を明らかにすることを目的に行われた国際共同研究について紹介する。症例は北米,欧州,アジアの23の医療機関から登録され,全体の症例数は361例(成人99例,小児262例)であった。観察期間中(中央値:2.7年,四分位1.4~5.1年),免疫抑制療法を受けた症例は309例(86%)であり,これらの症例においてlatent class mixed modelsを用いてeGFRの変動パターンを解析した。eGFRの変動はinitial improvement/late declineグループ91例とstable diseaseグループ218例に分けられた。複合エンドポイント(eGFRの30%以上低下か腎不全)は,24例(7.8%)に発生し,発生リスクはstable diseaseグループに比べinitial improvement/late declineグループに多かった(5年エンドポイント到達率14.9% versus 3.1%,p<0.0001,ハザード比5.84)。MEST-Cスコアのなかでは,E1(管内細胞増多)のみが多変量解析でinitial improvement/late declineグループと有意に関係していた。そのほか,initial improvement/late declineグループと有意に関係する因子としては,18歳以下,腎生検時のeGFR低値,腎外皮膚外病変が挙げられた。線維性半月体はstable diseaseグループと関係していた。以上より,免疫抑制療法を受けたIgA血管炎の腎予後は,臨床所見のほか,管内細胞増多や線維性半月体によって規定されることが明らかとなった。これらの病変はInternational Study of Disease in Children classification(ISKDC分類)に含まれておらず,IgA血管炎においては,腎生検レポートにOxford分類MEST-Cスコアも記載すべきであることが示唆された。また,IgA血管炎においては,免疫抑制療法への初期効果がよい症例においても,その後進行するリスクがあるため,長期フォローアップを行い,新たな治療戦略を要するか否か見極める必要があると思われた。

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