Japanese
English
今月の主題 Post H. pylori時代の胃炎・胃症
症例アトラス
GVHD関連胃炎
Graft-versus-host Disease Associated Gastritis
野村 浩介
1,2
,
木脇 圭一
3
,
布袋屋 修
2
Kosuke Nomura
1,2
1広尾クリニック内科・消化器
2虎の門病院消化器内科
3虎の門病院病理診断科
キーワード:
移植片対宿主病
,
GVHD
,
同種造血幹細胞移植
,
消化管GVHD
,
上部消化管内視鏡検査
,
EGD
,
早期診断
Keyword:
移植片対宿主病
,
GVHD
,
同種造血幹細胞移植
,
消化管GVHD
,
上部消化管内視鏡検査
,
EGD
,
早期診断
pp.54-57
発行日 2025年1月25日
Published Date 2025/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.053621800600010054
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疾患の概要
移植片対宿主病(graft-versus-host disease ; GVHD)は,同種造血幹細胞移植後にみられる症候群で,移植片の宿主に対する免疫学的反応である1).特に急性GVHDは移植の成否に関わる重要な合併症である.同種免疫反応であるGVHDは合併症の側面もあるが,同種免疫反応そのものは抗腫瘍効果や造血細胞の生着促進に不可欠な反応でもある.このため過度な免疫抑制はGVHDを抑制するが,同種免疫反応を低減させることにより白血病などの再発やウイルス感染症などの合併症増加を来し,必ずしも同種造血幹細胞移植の成功には寄与しない.また,過小な免疫抑制はGVHDによる組織障害を来し,破綻した組織における同種免疫反応の増加や感染症により,同種造血幹細胞移植が不成功となる.
消化管GVHDの発症機序は,ドナー由来の組織傷害性T細胞による消化管粘膜の直接傷害とT細胞由来のサイトカインによる組織傷害と考えられている2).GVHDの標的臓器とされる皮膚・腸管・肝臓の組織内における寛容機構が各臓器のGVHD発症に重要な役割を持っていることが認識され,とりわけ腸管における組織寛容はその破綻が全身GVHDのさらなる増加に関与するため,臨床においても移植期における腸管ホメオスタシス保持の重要性が認識されている.
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