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特集 腎臓とエイジング/アンチエイジング
各論
高齢患者の腎疾患診療
高齢CKD患者の薬物療法の注意点
Precautions for pharmacotherapy of elderly CKD patients
竹内 裕紀
1
TAKEUCHI Hironori
1
1東京医科大学病院薬剤部
キーワード:
高齢者
,
CKD患者
,
薬物療法
,
PK/PD
,
ポリファーマシー
Keyword:
高齢者
,
CKD患者
,
薬物療法
,
PK/PD
,
ポリファーマシー
pp.786-792
発行日 2025年6月25日
Published Date 2025/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001921
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はじめに
CKD診療ガイド2012では年齢別のCKD患者の頻度が示されており,全年齢区分のうち70歳以上は男性で70.2%,女性で75.8%と高齢者が多くを占めている。またCKD診断基準の1つである糸球体濾過量(GFR)<60 mL/min/1.73 m2は高齢者にも適用されるため,64歳以上の高齢者の23.4~35.8%がステージG3以上のCKDに該当する1)。しかし,この高齢CKD患者すべてが末期腎不全になる進行性の腎疾患ではなく,純粋な加齢に伴うGFRの低下例(GFR<60 mL/min/1.73 m2)も含まれており,高齢者におけるCKDの過剰診断が問題となっている。高齢者がCKDの診断基準に該当する場合は,加齢によるGFR低下と腎疾患によるGFR低下では腎機能予後が大きく異なっていることを理解する必要がある。加齢による腎臓の変化については,高齢になると腎重量や腎皮質,および腎血流量は10年ごとに10%減少し,機能ネフロン数も減少および,腎虚血が進行する。このように,加齢によるGFRの低下速度は緩やかであるが,何らかの腎疾患があるCKDでは,加齢によるGFR低下に腎疾患によるGFR低下が加わり,GFRの低下速度は急峻になるため,両者を鑑別したうえで,腎疾患によるGFR低下を伴う高齢CKDでは,積極的な薬物療法を含めた介入を行う必要がある。

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