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特集 CKD-MBD ―進歩と革新
MBDとアウトカム
血清副甲状腺ホルモン(生命予後,骨折と目標値)
The management of serum parathyroid hormone levels
藤井 直彦
1
FUJII Naohiko
1
1兵庫県立西宮病院腎臓内科
キーワード:
副甲状腺ホルモン
,
生命予後
,
骨折
Keyword:
副甲状腺ホルモン
,
生命予後
,
骨折
pp.633-638
発行日 2025年5月25日
Published Date 2025/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001878
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はじめに
2012年に日本透析医学会(Japanese Society for Dialysis Therapy:JSDT)から発表されたCKD-MBDガイドライン1)では,副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)はリン(P),カルシウム(Ca)に次いで透析患者の生命予後と関連する因子として位置づけされ,60~180 pg/mLを目標とすることが推奨された。これは国際的なKDIGOガイドラインが推奨する「正常上限の2~9倍(130~585 pg/mLに相当)」という管理目標値に比べるとはるかに低い値であったが,JSDTのデータに基づくわが国の実臨床に即したものであった。一方でPTHの管理は,2008年にシナカルセトが登場してから大きく変わった。それまでPTHを下げるためには主にビタミンD受容体作動薬(vitamin D receptor activator:VDRA)が用いられ,血清Caや血清Pの上昇とトレードオフの関係にあったが,カルシミメティクスはそのいずれをも低下させることができ,ほかの薬剤と併用することで,Ca・P管理を損ねることなくPTHを低下させることが容易となった。そのようななか,JSDTでは,2009年以降のデータを新たに解析し,カルシミメティクス時代に即したガイドラインの改訂を現在行っている。

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