特集 副甲状腺─ 病態解明と治療法の進歩
4.副甲状腺ホルモンのアッセイと問題点
山本 卓
1
1新潟大学医歯学総合病院血液浄化療法部
キーワード:
副甲状腺ホルモン
,
intact PTH
,
whole PTH
Keyword:
副甲状腺ホルモン
,
intact PTH
,
whole PTH
pp.273-280
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.19020/KB.0000000070
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副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone;PTH)は血中で全長の1-84PTHほか,大小のフラグメントとして存在している.CKD 患者ではリンの蓄積,低カルシウム血症,活性型ビタミンD の減少などにより,代償的にPTH が分泌されるが高度となると二次性副甲状腺機能亢進症を発症する.PTH はCKD 患者の生命予後に影響することから血中PTH 値を適切に評価しコントロールする必要がある.PTH アッセイは現在,第二世代(intact PTH),第三世代(whole PTH)が主流となっている.intact PTH は臨床データが豊富なため使用頻度が高いが,複数の固相抗体,標識抗体の認識部位と測定原理が存在するため測定結果が大きく異なること,1-84 PTH のほか,生理活性の異なる7-84 PTH も認識することが問題となる.またintact PTH の程度,腎機能,CKD-MBD 治療によりwhole PTH の相関が変化する.whole PTH は理論上もっとも正確にCKD 患者の副甲状腺機能を評価できると思われるが,臨床研究からのエビデンスは十分ではなく広く普及していない.PTH アッセイは未だ大きな問題が残されており,引き続き研究会,学会レベルでの前向きな議論が必要であろう.
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