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副甲状腺ホルモン(PTH)
1.PTHの構造と作用
副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone;PTH)は,副甲状腺で115個のアミノ酸からなるpreproPTHとして合成され,90アミノ酸のproPTHを経て,84アミノ酸,分子量約9.5kDaの蛋白へと変換されるペプチドホルモンである(図1).PTHの分泌は副甲状腺細胞表面に存在するCa感知受容体(calcium-sensing receptor;CASR)を介して,主に血中のイオン化Ca(Ca2+)により調節されている.すなわち血中Ca2+の上昇はCASRを介して副甲状腺細胞内Ca2+濃度を増加させ,PTH分泌を抑制する.逆に血中Ca2+濃度が低下すると,PTH分泌が促進される1,2).また,1,25-水酸化ビタミンD〔1,25(OH)2D〕は,PTH遺伝子の転写を抑制することにより,PTH合成を抑制する.
PTHは骨と腎臓に作用することにより,血中Caやリン濃度を調節している.このPTHの作用はPTHのN端34個のアミノ酸からなる合成ペプチドPTH(1-34)により再現される3).ただしin vivoで活性を示す分子は,主に84個のアミノ酸からなるPTHであると考えられている(図1).PTHとPTH関連蛋白(PTH-related protein;PTHrP)への共通の受容体として,G蛋白共役受容体の一つである,PTH/PTHrP受容体が同定されている4).このPTHrPは悪性腫瘍に伴う高Ca血症のうち,humoral hypercalcemia of malignancy(HHM)の惹起因子として同定された蛋白で5),系統発生上はPTHと共通の祖先に由来するものと想定されている.
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