巻頭言
教育におけるフィードバックの難しさ
遠山 直志
1
1福井大学医学部腎臓病態内科学
pp.547-548
発行日 2025年5月25日
Published Date 2025/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001862
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- 文献概要
私がはじめて医学雑誌に症例報告をしたのが「腎と透析」でした。担当したのは悪性腫瘍を合併した透析患者さんで,主治医として最後まで向き合った症例です。医師になって2年目のときで,はじめて腎臓内科医としての論文指導を受けた経験でもありました。多くのご指導をいただき書き上げた症例報告は大変勉強になりました。そのなかで特に印象に残ったのは,初めて自分が書いた論文の査読を受けたことです。コメントは建設的で,論文をよりよくしようとする温かみのあるものでした。一方で,コメントを受け取った私自身は,回答することが非常に大きなストレスだったことを覚えています。レビュアーからのコメントは論文を改善するために送られたものであって,自分自身への批判ではないことは理屈としてはわかっているつもりでした。しかし,批判されるという経験に動揺し,返答を書きはじめるまで何日もかかりました。
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