Japanese
English
研究
透析時細胞内外体液移動とその生存率への影響―多周波数生体インピーダンス法による検討
Intracellular fluid movement during dialysis and the effects on survival in chronic hemodialysis patients―Examination by multifrequency bioimpedance analysis―
猪岡 英二
1
,
栗田 宗幸
1
,
千田 幸夫
1
,
戸恒 和人
1
,
佐藤 慶祐
1
,
佐藤 壽伸
1
,
関野 慎
1
,
竹内 和久
2
,
梶川 伸也
3
INO-OKA Eiji
1
,
KURITA Muneyuki
1
,
CHIDA Yukio
1
,
TOTSUNE Kazuto
1
,
SATOH Keisuke
1
,
SATOH Tosinobu
1
,
SEKINO Makoto
1
,
TAKEUCHI Kazuhisa
2
,
KAJIKAWA Shinya
3
1宏人会中央クリニック
2宏人会木町病院
3東北学院大学工学部機械知能工学科
キーワード:
慢性維持透析
,
多周波数生体インピーダンス法
,
細胞内外体液移動
,
生存曲線
,
浸透圧ストレス
Keyword:
慢性維持透析
,
多周波数生体インピーダンス法
,
細胞内外体液移動
,
生存曲線
,
浸透圧ストレス
pp.114-121
発行日 2025年1月25日
Published Date 2025/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001755
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はじめに
透析患者の寿命は一般人より短いとされ,その原因に,基礎疾患重症度に基づく避けがたい要因に加え,透析療法自体,すなわち過剰体液量とそれに伴う高血圧,異栄養-炎症-動脈硬化-症候群(malnutrition-inflammation atherosclerosis syndrome:MIA症候群)の関与などが挙げられている1,2).筆者らも,体液過剰群の予後は不良で客観的に適切なドライウエイト(dry weight:DW)を設定する重要性を指適した3).さらに,高血圧に関して,同等に血圧を適正化しても体液量過剰なまま降圧薬で管理した群とDWを適正化したうえで管理した群の生存率は,前者で不良なことから,高血圧は心血管系に対する物理的負荷以外の原因があることを示唆した4).その原因として無症候性心不全時と同様の病態を推定したが,透析時の急激な細胞外液の浸透圧変化により細胞内へ過剰な体液が侵入し,細胞膜破裂,壊死が生じる,いわゆる浸透圧ストレス5)が関与し,MIA症候群の発生要因となる可能性も考えられる.しかし,透析時の細胞内外浸透圧の測定は困難で,これまで報告されていない.そこで筆者らは,多周波数生体インピーダンス法(bioelectrical impedance analysis:BIA)を用い,透析時細胞内外の体液量移動を推定し,その長期予後への関与につき検討した.
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