今月の主題 酸化ストレスマーカーと疾患・病態
話題
酸化ストレスマーカーの免疫化学的測定法
大澤 俊彦
1
Toshihiko OSAWA
1
1名古屋大学大学院生命農学研究科食品機能化学
キーワード:
モノクローナル抗体
,
脂質過酸化
,
DNA酸化
,
マクロファージ
,
好中球
Keyword:
モノクローナル抗体
,
脂質過酸化
,
DNA酸化
,
マクロファージ
,
好中球
pp.193-196
発行日 2005年2月15日
Published Date 2005/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100116
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1. はじめに
生体内で過剰に生じた「活性酸素・フリーラジカル」が直接的,または間接的に蛋白質や酵素,核酸などの生体構成成分を攻撃することが知られている.なかでも,生体膜の主要構成成分であるリノール酸の場合は,酵素的,非酵素的な過酸化連鎖反応により,9-,13-ヒドロペルオキシドが生成し,最終的には,マロンジアルデヒド(MDA)や4-ヒドロキシ-2-ノネナール(4-HNE),4-ヒドロキシ-2-ヘキセナール(4-HHE)やアクロレイン(ACR),クロトンアルデヒド(CRA)などのアルデヒド類が生成することを明らかにしてきた.最近,リノール酸ヒドロペルオキシドにより修飾された核酸塩基に特異的なモノクローナル抗体を得ており,リノール酸以外にもアラキドン酸ヒドロペルオキシドに特異的なモノクローナル抗体や,酸化LDLに多く存在するケトステロイドに特異的なモノクローナル抗体を得ることにも成功している.一方,ウイルスや病原菌からわれわれを守ることで生体防御に重要な役割を果たすマクロファージや好中球などの免疫担当細胞も,過剰に生成したペルオキシナイトライトやミエロペルオキシダーゼに由来する酸化傷害のメカニズムの化学的な解明を進め,酸化修飾されたチロシンに特異的なモノクローナル抗体を開発した.
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