Japanese
English
公益社団法人日本麻酔科学会第71回学術集会講演特集号 招請講演
麻酔科学の発展を支えるDXとJSAPIMS
JSAPIMS and digital transformation supporting the advancement of anesthesiology
澤 智博
1
Tomohiro SAWA
1
1帝京大学医療情報システム研究センター・医学部麻酔科学講座
キーワード:
医療情報システム
,
症例登録システム
,
医療DX
Keyword:
医療情報システム
,
症例登録システム
,
医療DX
pp.S108-S118
発行日 2024年11月20日
Published Date 2024/11/20
DOI https://doi.org/10.18916/masui.2024130015
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
1 麻酔科学の発展と偶発症例調査事業30年の歩み
1)1990年代 偶発症例調査事業開始
日本麻酔科学会偶発症例調査事業は,その予備調査として1992年に開始されたことに歴史をさかのぼる。当時の文献1によると,“わが国では第二次世界大戦終了後数年をして,初めて近代麻酔が導入された。麻酔科専門医の間では,日本における現在の麻酔レベルが欧米先進国に比べて劣っているとの認識はほとんどないが,それを裏づけるデータがまったく欠如していた。” とあり,さらには “日本麻酔科学会ではわが国の麻酔の現況を数字として把握し,諸外国のデータとの比較から問題点を浮かび上がらせ,今後の発展,改善に結びつけることを目的として本調査を開始した。” と記述されている。このことから日本全国での麻酔実施の実態に関する統計値を得て,その統計値から全国の状況を考察し,他国との比較によるベンチマーキングを目指していたことがうかがえる。表1に第一次偶発症例調査(1994年-‘98年)の “「麻酔が原因」の偶発症例および転帰”,表2に “「すべてが原因」の偶発症例および転帰” の調査結果を示した。ここで “すべてが原因” とは,原因の種別を問わないことを示している。偶発症例調査事業の主目的として “麻酔の安全性” が掲げられており,調査結果においても心停止や死亡等の転帰に関して “麻酔が原因” の発生率や全体における位置づけについて解析・評価がなされており,これは30年経過した今日においても継続している。
Copyright © 2024 KOKUSEIDO CO., LTD. All Rights Reserved.