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特集 補体と腎疾患:温故知新
腎疾患への抗補体薬の作用機序と有効性
抗C5モノクローナル抗体
Aniti-C5 monoclonal antibody
芦田 明
1
ASHIDA Akira
1
1大阪医科薬科大学医学部泌尿生殖発達医学講座小児科学
キーワード:
エクリズマブ
,
ラブリズマブ
,
非典型溶血性尿毒症症候群
,
C3腎症
Keyword:
エクリズマブ
,
ラブリズマブ
,
非典型溶血性尿毒症症候群
,
C3腎症
pp.104-108
発行日 2024年7月25日
Published Date 2024/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001401
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はじめに
補体系は,血清レベルでの補体蛋白質の消費,免疫蛍光法や電子顕微鏡観察での腎組織への沈着所見から,さまざまな腎疾患の病原・病因に重要な役割を演じていると考えられてきた。実際に,臨床現場における血液検査で測定される血清補体価(CH50)や,補体蛋白C3やC4は種々の疾患活動性を示す指標としても用いられ,免疫染色により示されるC3やC4,C1qなどの腎組織への沈着は,腎組織における補体系の活性化,ひいてはその活性化経路をも示す。自己免疫性糸球体腎炎では糸球体係蹄に免疫複合体が沈着し,古典経路が活性化される。補体活性化は近傍の細胞を直接的に障害し,アナフィラトキシンが好中球を遊走させ,さらなる炎症を惹起する1)。レクチン経路も,IgA(immunoglobulin A)腎症や膜性腎症などで活性化が報告されている1)。第二経路は増幅回路として作用するとも考えられており,第二経路制御異常をきたす疾患として,非典型溶血性尿毒症症候群(atypical hemolytic uremic syndrome:aHUS)やC3腎症(C3 glomerulopathy:C3G)などが挙げられている。補体経路に関する詳細については別稿に譲るとして,本稿では,補体阻害薬としてはじめて臨床応用が承認された抗C5モノクローナル抗体製剤(エクリズマブ,ラブリズマブ)について,対象疾患として承認されているaHUSを中心に概説する。
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