絵で見る免疫学 基礎編・20
モノクローナル抗体とポリクローナル抗体
高木 淳
1
,
玉井 一
2
,
隈 寛二
3
1ダイナボット(株)器機診断薬事業部
2栄光病院
3隈病院
pp.1076-1077
発行日 2001年8月1日
Published Date 2001/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905970
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抗体の特徴
モノクローナル抗体は,優れた特異性を持つ抗体が大量に得られることのみならず,抗原抗体反応の科学的解析を容易にし,免疫学にさらなる進歩をもたらした.これを最も基本的な計算式で示す.一定量の抗原〔Ag〕と抗体〔Ab〕の反応が平衡状態で抗原抗体結合物〔Ag・Ab〕が産生される式は,〔Ag〕+〔Ab〕⇔〔Ag・Ab〕で示される.〔Ag・Ab〕の生成量は,〔Ag・Ab〕/〔Ag〕〔Ab〕=Kで表され,Kを平衡定数(アフィニティ定数)とよぶ.生成量が多い場合のKは大きく,少ないと小さい.さらに,この式から導かれる式b/f=K(q-[B])は,b/fをY軸に,[B]をX軸とし,傾きがKなる一次直線である.この式で描かれるグラフをスキャッチャードプロットと言い,このグラフの傾きから平衡定数が求められる(図1).
しかし,筆者らがポリクローナル抗体時代に実験的にKを求めたが曲線になり,Kは抗体と結合している抗原の量[B],すなわち〔Ag・Ab〕によってそれぞれ異なるKが得られた.ポリクローナル抗体は,特異性の異なる複数の抗体が各々異なる平衡定数を持っているからであり,イムノアッセイ系の熱力学的な裏づけが困難であった.しかし,モノクローナル抗体を使用するとスキャッチヤードプロットは直線になり,1個のKが得られる.
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